【書評】京大式DEEP THINKING

アウトプットを意識するとインプットする情報もフィルタリングされると言うのは、普段僕が強く感じている事で、こうしてブログやツイッターで情報発信をする事によって、新しい情報を取って行こう(インプットしていこう)というアンテナが張れる。

橘怜さんらの本は読んでいる方も多いと思うので、そういった本についてあえて書評というのは書かないが、最近読んだ本の中で結構良かったものがあったので共有したい。

表題にもあるこの本は、その名の通り、「深く考える力」についての考察である。

いわゆる学校教育における偏差値とは違う。

よく、公教育というものは高度経済成長期のサラリーマンを養成するための教育であると言われており。この先の「個の時代」においては、そういったコモディティ化されたマインドセットでは生き残る事は出来ない。

(周りを見渡せば、社内での立ち位置のみでしか生きていく尺度を図れない人は多いと思う。)

じゃあどうすれば、といった時に、いかに「自分らしく」アウトプットしていくかという事が大切になってくる。 

それは、もしかしたらインターネットにおけるビジネスかもしれないし、社会で使える個人のファンダメンタルを鍛えることなのかも知れなが、なんにせよ何らかのスキルを身に着ける必要があるという事である。

どちらにしろ、「人と同じ」というものではなく、「○○といったら☆☆だよね」とどれだけ周りの人間が認知してくれるかどうかが結構重要、という話だ。

(小遣い制でナンパしてるといったらKazだよね。という具合だ)。

これはアメリカなんかで、遠慮していると誰も相手にしてくれず、逆に自分を出すことによって、皆から認められるという感覚に近いのかもしれない。

(アメリカ行ったことないけどww)

 

◆効率重視のビジネススキルへの警鐘

時間との戦いにおけるビジネスにおいて「早く、明快な答え」を出す事が正解とされやすいが、本書では「思考力」はそれでは磨かれないとしている。

いわゆる、我々の思考は「目の前に起きた事と、自分の知識の答え合わせ」であり、「深い思考」とは「未知のものを目にした時、考え抜いた末に全く新しい概念が自分の中に形成される事」だとしている。

近年で言えばディープラーニングや、ブロックチェーンの概念を世に知らしめた落合陽一氏やサトシ・ナカモト氏が深い思考の末に第一人者になった好例だろう。

本書では「ユニーク」という言葉を、習熟が飽和しない=いくら技術が高まってもゴールがなく、成長が頭打ちにならないもの」と定義している。これは「幸福の資本論(橘怜氏)」でいうロングテールの世界と本質的には同じ考え方だと思うが、際限がないからこそ、収入一つとっても(成功すれば)サラリーマンとは比べ物にならないようになるわけで、個人的には、この考え方を人生というスパンで、いかに醸成させられるかがポイントかなと思っている。

行きつ戻りつしたり、一直線にたどり着かずにグルグル同じ場所を回ったり、時には道を間違えたり、遠回りすること。それが「深く考える」と言うことである。そんな行為そのものに、「自分だけのユニーク」を見つけるヒントが隠されている。そして、そんな「自分だけのユニーク」こそがこれからの社会を生き抜く「自分だけの強み」になるのではないだろうか。

深く考えて物事のいろいろな側面を探ったり、たくさんの多様な経験をしたりする事で自分に合う方法を見つけ、その方法をまた深く経験する-これが、あなたの人間としての魅力「人間力」やスキルを飛躍・習熟させれくれるのではないだろうか。

 

特にインターネットの世界には、魑魅魍魎の情報が溢れ返っているが、「人間臭さ」や「その人らしさ」は自分にしか語れない。それが1人1人が自分の人生と言う物語のストーリーテラーとなる事の意味や強さだと思っている。

例えば、みんな同じように金が欲しく副業で金が稼ぎたい。できればサラリーマンみたいな雇われの歯車の1人になるのは嫌だ。

んで、暗号通貨で一攫千金、アフィリエイトでサクッと稼いで、リタイヤ。何となくこんな事を思い描いている人もいるだろう。

別に好きな人はやればいいし、それに対して僕は何の被害も被っていないので、特に感想は持たない。

ただ一ついえるのは、「だからいつまで経っても搾取される側なんだよ」ということである(暗号通貨そのものを否定しているわけではなく、そういった稼ぎのモデルに乗ることしか出来ないのであれば、それ自体が情弱だよという事だ)。

◆「あなたらしさ」を見つける為のヒント

目的地は同じでも、いつも通らない道を通って道草をしていたら、とびきりうまい定食屋を見つける事があるように、思考の回り道をしていると、自分でも思いがけない新しい発見がある。

 

「じゃあどうすれば」って言う事に関していうと結局自分のストーリーを見つけ出すしかないよね、と言う話になるんだけど、その為にはみんなと同じように行動してても、結局それはコモディティにしか過ぎず、オリジナリティやユニークさと言うのは培われない。そしてそれは回り道や思考の寄り道によって見つかるものなのかもしれないという話だ。

筆者は京都大学で「不便益」という一風変わった学問の研究者であるが、これは「一見不便に思えることをする事で得られる利益」ということ。

ここでいう「道草」は、ゴールに最短で到達するという目的からしたら「不便な状態」であるが、そうすることで綺麗な花を見つけられるなどの「益」が得られるかもしれない、という事だ。

「人生は大いなる暇つぶし」と名言を残しているみうらじゅんさんなどは、道草の天才だろう。そこから彼にしか語れない、彼にしか築けないポジションという益を作り出している。

ただし、結果よりもプロセスこそにそのヒントが隠されているといっても、それがいいプロセスかどうかを知らなければ、何回やってもうまくはいかない。

いくら寄り道にヒントがあると言っても、それがあまりに間違ったやり方では同じ場所の堂々巡りであったりして先へは進めない。

その為には、「経験前と後で何が違っているのか」を意識する事が必要になってくるが、その道中にいる間に「自分が変化している」事を意識するのは難しい。

じゃあどう言う視点を持つべきなの?というのは是非本書を読んでほしいが、その解説が具体的に書かれており、個人的には結構タメになった。

 

◆Zero to Oneのアイデアの出し方

よくアイデアは掛け算だというが、アイデアの掛け算は、今ある技術を前提にしてそれをどう組み合わせるか、と言う事であり、それは先人たちのアイデアの上に立つモノであって、本質を見る力を曇らせるという。

アイデアの出し方として「足し算でなく引き算だ」と言うのはiPhoneが好例と捉えられているが、では何を引いたら良いのかについても筆者なりの考え方が盛り込まれていて、個人的には時間を取って試してみたいという思いだ。

様々なビジネスモデルは先人の真似事から始まると言う事例は数多あるし、成功例もたくさんあるので、それはそれで素晴らしいものだと思っている。そして、無から有を生み出す事に関しては時間と労力がかかる上、実現可能性が低かったりするリスクもある。

だが、もしかしたらその中にこそ、本質的なアイデアの種というものがあるのかも知れない。

そして、ある意味では当たり前なのだが、この本には「こうしたらこうなる」という結論はない。

「それ」を考え出すのが個々人のDEEP THINKINGだからだ。

まだまだ僕個人としても何者にもなれてはいないが、アイデアを見つける為の思考と言うものを心がけてみたいと思った次第である。

ちなみに個人的には、今年はこう言ったスタンスでやっていこうかなと考えている。

とにもかくにも、便利すぎる世の中でも完璧な世界はないし、チャンスは歪みは絶えず発生している。だからこそ深く思考する価値があると言う事。そしてそれは案外足元を深掘りする事で見えてくるものなのかもしれない。
そんな事を教えてくれる本だった。

 

 

おわり

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