コモディティ化するという事

最近、自動車部品の企業の知名度アップをちょくちょく目にするようになって来た。
 
新幹線や駅の広告、J-TEKTという会社は市川海老蔵を起用してCMまで打っている。
 
日本特殊陶業は、V6の岡田君を起用している。
 
ご存知の方も多いと思うが、自動車産業におけるトヨタの一次下請けは、「メガサプライヤー」と言われ、いずれも売上高が1兆円を越えている。
 
トヨタやその他自動車メーカーにおんぶに抱っこであれば問題がなかった。
 
だけど、実は少しずつ事態が変容して来ているように感じる。
 
 
数年前、トヨタでとあるプロジェクトが発足した。
 
「TNGA」と言うプロジェクトだ。
 
まず、誰もがあるモノ想像する。
 
 
 
 
そう、「テンガ」だ。
 
 
…だが、当然そのような意味ではない。
 
これは、「Toyota New Grobal Architecture」の略称であり、内容は至って真面目だ。
 
その概要はウィキペディアにも載っているが、要約すると、「車種のグレード毎にプラットフォームを共通化し、それを全世界で展開する」というものだ。
 
例えば、これは業界では当たり前の話なのだが、カローラという車とアルファードという車はもともと違ったプラットフォーム(トランスミッションやフレーム その他諸々の部品)を使用していた。
 
それが、ある時からプラットフォームを共通化するようになった。
 
カローラとアルファードがである。
 
両者の販売価格は250万円vs500万円以上と倍半分の差がある。
 
これはトヨタにとっては、アルファードの原価をカローラ並みに下げ、販売価格はそのままに利益率を大きくアップさせる、という事になる(当然、意匠部品など違う部分も多い)。
 
 
TNGAは、その考え方を全世界(北米、中国、東南アジア、欧州、日本)の車種で展開しようという試みだ。
 
 
その一発目として発売されたのが、バカ売れ中のCH-Rだ。
 
トヨタの戦略は今の所、奏功していると言える。
 
今後、世界戦略車としてCH-R(と同一プラットフォームの車)が、全世界で展開される事になる(もうなってるかも)。
 
 
だが、こうした動きは部品メーカーにとっては好ましいものとは限らない。
 
今までにない数量を製造する為に、多くの設備投資を必要とする上に、受注を逃したら、数年間はほぼ仕事がない事を意味するからだ。
 
その上、大量発注による大幅な原価低減が求められ、受注しても一個一個の部分ではほぼ儲からない。
 
だから、各社とも自社の生産性改善に必死だ。
そうしないと生き残っていけない。
 
コレはいわゆるコモディティ化というやつだ。
 
 
【コモディティ化】
競合する商品同士の差別化特性(機能、品質、ブランド力など)が失われ、価格や買いやすさだけを理由に選択が行われること。機能や品質面で大差のない製品が多く流通し、消費者にとって「どの会社のものを買っても同じ」状態になること。
一般化、大衆化、普及。commoditization。
 
 
コモディティ化した世界で生きるということは、オリジナリティの消失を意味する。
 
画一化され、買い叩かれた製品は大量生産すれば食いっぱぐれる事はないかも知れない。
 
だけど、そうしたモノは当然模倣しやすくさらなる競争に晒された時に、一気に自分の立場を危うくするし、なにより、最近のトヨタみたいに、ツマラナイ車しか出来なくなる。
 
 
僕は、冒頭の部品メーカーのCMは、(もしかしたら他業界へのPRに過ぎないのかも知れないが)彼らの危機感によるものだと思えてならない。
 
 
 
個人はどうだろうか?
 
 
勉強が出来てもオリジナリティを出せない人間は、その他大勢と同じ扱いを受け、買い叩かれ、やがてAIに奪われる仕事につくしかないかも知れない。
 
きっと他者に気を使っていられる時代じゃなくなったんだと思う。
 
 
僕もハッキリ言って道半ばだし、おっさんだからSNSとか超弱いし、インスタとかも使えないけど、出来る限りもがいてみようと思う次第だ。
 
 
 
おわり

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